不動産業界では誰もが耳にする宅地建物取引士、いわゆる宅建という資格。
受験必須要件がほとんどない国家資格だけあって、近年では受験者がかなり増えてきました。
2024年には、受験申込者が30万人を超え、新記録を更新したそうで(笑)
なかには不動産業界に転職するために宅建を取る人もたくさんいることでしょう。
でも宅建JOBエージェントさんでは、宅建資格なしでも応募できる人気求人があるなんて言ってるし、実際宅建取らなくても不動産業界に入れるのでは?と思っちゃいますよね。
そうなんです、結論から言えば宅建士の資格がなくても不動産就職はできます!
ただしこの言葉にはすこーし弊害がありますので、実際の不動産業界の仕組みやどんな人が活躍しているかなどを詳しくお話ししていきます。
そもそも不動産業界でなぜこんなに宅建士が求められるのか
宅建を勉強し始めた人はご存じかと思いますが、不動産業界に宅建士が必要とされる理由がふたつあります。
①事務所に5人に1人の割合で宅建士をおく必要がある
②重要事項説明などの宅建士にしかできない専門業務がある
特に①の宅建士配置義務。
こちらは会社が大きくなり、不動産に従事する人が増えるほど宅建士も必要となってくるということです。
5人に1人なので、従業員6人だったら宅建士は2人必要ということになってくるわけなんです。
採用に力を入れて人を増やしたいと思っている不動産会社の悩み
無資格の従業員が増えると宅建士が不足してしまう
↓
今いる無資格の従業員に宅建取って欲しい
↓
国家資格なのでそう簡単に取れないし時間もかかる
↓
結論:宅建資格持っている人を採用すれば早い
この宅建を持っている人を採用すれば早い。
宅建士が必要とされる理由がこれなんです。
早いというのもまた肝心で、万が一必要な宅建士が人数割合を下回ってしまった場合、2週間以内に専任の宅建士を用意するという措置を取らないといけないんです。
宅建試験は年に1回。合格率13%~15%ぐらい。
今いる従業員に取って欲しいと思っても2週間ではどうにもならないのです。。
重要事項説明は宅建士にしかできないお仕事
宅建士が必要とされる理由のもうひとつが重要事項説明という有資格者しかできない業務があること。
不動産売買において、重要事項説明は例外を除き必須任務なのですが、営業が売買から重説、引き渡しまで自分でできるとなると業務が円滑に進みます。
なぜか。
家を売買する営業が宅建士を持ってなくて、重要事項説明を違う人にお願いしないといけない。
そうなると、重要事項説明をする人に対して、該当物件の情報や、お客様との売買にいたるまでの経緯などを逐一共有しないといけません。
役所調査や現地調査においての確認ごとのラリーがかなり増えてしまいます。
またやりとりを重ねれば重ねるほど、情報の格差が広がるリスクも増えてしまうわけです。
不動産業は動く金額も多額。説明書間違えてました、では済まされない業界。
販売するために物件を知り尽くして、調べ尽くしている営業が、責任をもって重要事項説明をし、少しでもお客様に安心して契約をいただけるほうが、会社にとってはメリットがありますよね。
これぞ宅建士の真骨頂といえます。
じゃあ結局宅建士でないと不動産会社に就職できないんじゃん。と、肩を落とさないでくださいね。
冒頭でも言いましたがそんなことはありません。
希望する不動産会社が何を求めているかで宅建士資格の需要は変わる
いままで書いてきたことは、不動産会社としての義務、不動産にとっての必要な業務があるので、今すぐに宅建士が必要なんです!という企業さんのお話です。
私の感覚ですが、こういった宅建士の人数制限がギリギリであったり、重説ができない宅建士が多すぎて困っている企業はめったに見かけません。
賃貸の需要が高まるなかで、今必要とされているのは、数字(成績)が出せる営業です。
賃貸と売買では仲介業者からしても、売買のほうが動く金額は大きく変わってきます。
シンプルに言えば、真っ先に大きな売上がほしいのです。まぁどこの業界もそうですよね(笑)
重要事項説明に関してみても、宅建士を持っていても成績が良い人は重説をしないスタイルを取っている企業もあります。
重要事項説明書ひとつ作成するだけでも、ものすごい量の調査ごとがあるので、好成績の営業マンがここに時間をさくともったいないからという考えからですね。
なので、宅建士を持っていないと就職できないということはまずありません。
宅建士を持っていれば就職に”有利”ではある
とはいえ、宅建士を持っていれば就職に有利なのも事実です。
持っていない人よりは、持っている人が良いパターンもあります。
応募必須条件として掲げてる企業さんもありますからね。
ただ、持っていないからと言って不利とは言えないと私は思っています。
先ほども述べましたが、企業によっては宅建士よりも営業力を求めているところもあるのです。
営業経験が豊富な方であれば、そちらを強みとして就活すれば何の問題もないと思います。
実際私の勤める会社でも、トッププレイヤーを争う営業マンの半分は宅建を持っていません(笑)
それでも会社として大切な稼ぎ頭なわけですから、別に宅建士を持っていなくても重宝されているわけです。
営業経験もない方は、不動産業界になぜ興味を持ったか、営業職を選んだ理由をシンプルに語ればいいと思います。
結局は対人間です。不動産業界は他業種に比べてAIが完全介入してくるのもまだ先でしょうから。
「人と関わる仕事がしたい」
「責任感のある仕事がしたい」
「人生で1度ぐらいしかない大きな買い物に関わりたい」
素直な回答が一番ですね。
最近では多様性重視なんてこともよく言われてますから、「不動産は稼ぎが良いと聞きました!」なんて志望動機を言っちゃう人もいるんじゃないかなーって想像してます(笑)
それが吉と出るか凶と出るか…ホント面接官次第なんでしょうけどね。
不動産業界への就活・転職において宅建を取得する意思がある人のアピール方法
なかなか合格できず、宅建士になれていないけど、それでも宅建受験に関しての意欲を見せたいがために、履歴書に「今年はあと1点でした。」「来年こそは絶対に合格します!」とか書いた方が良いですか?という質問をたまにいただくのですが…
ん~あなたが面接官だったらどうでしょうか?
正直、「惜しかったね。頑張ってね。」としか言えないんですよ。
合否結果よりも私は積み重ねてきたものを評価します。
継続力って、仕事においても勉強においてもかなり強い武器なんです。
まだ合格には至ってないけど、取得意欲をアピールしたい人は、どのぐらい勉強しているのか、なんのために宅建取得をしたいのかなどを具体的に話す方がより面接官に刺さると思います。
それに、不動産業界志望で、この人は努力を継続できるし、入社後に宅建も取ってくれると思ったら会社としてもメリットありありです。
宅建持っていなくても、期待値の増加は見込めます!
おわりに
私は一児の母でフルタイム勤務という立場なので、結構ね、子育てしながらそんなに勉強する時間があって良いね。とか言われるんですが、自分で時間作ってるんです(笑)
スマホゲームをしているとき、無駄な付き合いだと分かっていて参加している飲み会の時間…それってあなたが成し遂げたいことにおいて必要なこと?といつも自問自答して、不必要な時間はすべて勉強に捧げてきました。
もちろんストレス値もセーブしないといけないから、なんでもかんでも我慢していたわけではないですよ。
時間がない生活で時間を作り出し、有効活用したお話はまた別記事でお話ししますね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。